第1章:俺の声は何!?

第1章:俺の声は何!?

30:推し語り

----------- ------- ----- 『……ずっと。お前に、なりたかったんだぁ』 -------お前、どうやって王子に取り入った?  ユラユラと揺れる俺の声が、テザー先輩に言われた言葉と共に空気を揺らす。扉の向こうからは、何も...
第1章:俺の声は何!?

29:公開討論開始

「へぇ。俺が死んだら、誰が王子の部屋守をするんですかね?」 「お前の代わりなどいくらでも居る。自惚れるな」 「まぁな。確かに、俺の代わりなんていくらでも居るだろうよ。でもな?俺の代わりをやりたがってるヤツなんて、此処に一人だって居るか?」 ...
第1章:俺の声は何!?

28:思春期男子の癇癪

『お前、どうやって王子に取り入った?』  まただ。  あの日のテザー先輩の言葉が、頭から離れない。ずっと、俺の耳の奥にこびりついている。俺の周囲の空気だけが、あの言葉の震えをずっと記憶しているみたいだ。  モヤモヤする。 「はぁっ」  俺は...
第1章:俺の声は何!?

27:問いの答え

「テザー先輩。交代の時間です」 「……あぁ」  今日も今日とて、俺はイーサの部屋へと向かう。部屋の前に到着してみれば、そこにはピシリとした姿勢で部屋の前に立つテザー先輩が居た。どうやら、今日は俺が先輩と交代する日らしい。 「あ」  とっさに...
第1章:俺の声は何!?

幕間5:クリアデータ7 00:59

「はぁっ!?何よ!この馬鹿高い物価は!?」  上白垣栞は、画面に映し出された道具屋の価格設定にカッと目を剥いた。なにせ、初期の回復アイテムですら、一つ千五百ヴァイスと明記されているのだ! 「これ、絶対にぼったくられてる!ありえない!」  栞...