第2章:俺の声はどう?

第2章:俺の声はどう?

113:カナリアになった男の子

「じゃ、エーイチ。そろそろ行ってくる。また後でな?」 「……うん」  小さく頷くエーイチに、俺は軽く手を振ると、黙って待ってくれていた隊長の元へと向き直った。 「すみません。隊長、準備が出来ました」 「……あぁ」 そこには、妙に申し訳なさそ...
第2章:俺の声はどう?

112:分かれ道の決断

--------サトシ!さぁ!よく来たな!おいで、イーサとあもがお前を素敵なお茶会に招待してやろう!  そう言って美味しいお菓子を一緒に食べたのは、果たしていつの夢だっただろう。もう、よく思い出せない。ただ、楽しかった事だけはハッキリと覚え...
第2章:俺の声はどう?

111:イーサの不安

-------いーさ!いーさぁ!どこぉ!あけてぇ!  サトシのマナの残滓が、イーサの耳を突く。 それはもう、何度も何度も。毎晩、毎晩。 「さとしっ、さとし、さとし、さとし!なんでっ!!」  イーサは腹の底から湧き上がってくる感情の渦に、大い...
第2章:俺の声はどう?

110:サトシの決断

「あの、先輩。一つ良いですか」 「……何でも言え。お前には、聞く権利がある」  未だにションボリした先輩の隣で、俺はシャツのボタンを上から二つだけ外し、服の下に隠れていたイーサのネックレスを先輩へと見せた。 「これって、やっぱり何か効果があ...
第2章:俺の声はどう?

109:テザー先輩のシュンデレ

------サトシ。がんばってね。  そう、耳の奥で、丸くてふわふわの声が笑うように言った。あもだ。いや、まぁ、俺の声なのだが。まぁ、あもだ。あもって事にしておいて欲しい。 あもは、そのフワフワの手を小さく振ると、イーサのベッドの上にパタリ...