第2章:俺の声はどう?

第2章:俺の声はどう?

108:イーサはお子様

「イーサお兄様、話をすり替えないで頂きたい。今ここですべきなのは、」 「今すべきなのは、何だ?」  イーサは次弟の言葉を遮り、同じ言葉を繰り返した。相手の目をジッと見つめるのも忘れない。更に少しだけ次弟との距離を詰め、そして口元には、薄い笑...
第2章:俺の声はどう?

107:イーサはお兄様

--------いーさぁ。いーさぁ。 「っ!」  その瞬間、イーサは自身の体に走った奇妙な違和感に、ヒクリとその身を震わせた。 「サトシ?」  思わず口から漏れたその名が、全ての違和感の答えだった。 「どうされました?イーサ王子」 「……い...
第2章:俺の声はどう?

106:サトシとあもの自問自答

パチリと目を覚ました。  そこは、いつもの王宮の中庭だった。ただ、いつもと違うのは、俺の頭の上に広がるのが夜空ではなく青空という事だ。  どうやら、今は昼間らしい。 『イーサのとこ行こ!』  俺は昼だろうが夜だろうがそんな事は一切関係なく、...
第2章:俺の声はどう?

幕間10:クリアデータ7 03:50

「ちょっちょっちょっ!何々!?私以外のキャラ全員が麻痺と毒の状態異常ってどういう事!?」  栞は炭鉱ダンジョンの画面を凝視しながら、大きく目を見開いた。 唯一、主人公である【シオリ】のステータス画面には、毒もマヒも起こっていない。 「いや、...
第2章:俺の声はどう?

105:恋しさ、劣情、欲情

〇 『なぁ、サトシ?』 『ん?』  金弥は聡志の横顔を見て思った。  あぁ、これは明日にでも熱を出すぞ、と。  聡志は先程から繰り返し繰り返し、手にしていたお茶を口に含んでいる。そして、きっと無意識だろう。片方の手で、何度も喉に触れていた。...