第2章:俺の声はどう?

第2章:俺の声はどう?

104:聡志からの贈り物

『ごめんね、キン君。聡志、また喉が痛くて熱が出ちゃったの。だから、今日は遊べないのよ』 『え?』  聡志の母親の言葉に、当時四歳だった金弥はこの世の終わりのような気持ちになった。なにせ、“熱”が出たから聡志と遊べないなんて、その時の金弥にと...
第2章:俺の声はどう?

103:炭鉱のカナリア

「じゃあ、もう友達でいいよ。相手が死ぬのを想像して、本気で嫌だと思えるなら、もう十分友達だって」 「それが自分の利益の為でも?」 「うーん。エーイチは頭が良過ぎて、ちょっとズレてるとこあるよな?」  俺は「自分の利益」なんて本気の顔で口にし...
第2章:俺の声はどう?

102:エーイチのズレデレ

「僕は僕が心配なんだ!サトシが心配な訳じゃない!」 「……エーイチ」 「だいたい、何だよコレ!サトシじゃないヤツが相手だったら、きっとこんな心配しなくて良かった筈なのに!」  その言葉に、俺はここ最近ずっとこびりついて離れなかった喉の違和感...
第2章:俺の声はどう?

101:エーイチの心配事

----------- --------- -----  毎晩、夢を見るんだ。 ------サトシ、どこか体に変な所はないか?何かあったら必ず言うんだ。  懐かしい声で、何度となく問いかけられた。  その度に、俺は「うん」と大きく頷いていた...
第2章:俺の声はどう?

100:兄妹喧嘩の終わり

相手に反論の余地を残しつつ、確実に追い詰める。追い詰めながらも、相手の逃げ道は塞がず、ついでに頭を撫でてやる事も忘れない。  誘導尋問というより、これは、 「まるで、ごきげんな“お散歩”ですねぇ」  あのソラナに対し、こんな事が出来るのは、...