第4.5章(外伝):金持ち父さん、貧乏父さん その3

第4.5章(外伝):金持ち父さん、貧乏父さん その3

87:金持ち父さん、貧乏父さん(87)

『スルーっ!あぁっ!良かった、無事だったか!』 俺の目の前に、肩で息をしながら、その背に満月を背負う男が現れた。その口は、何度も『スルー』と俺の名を呼んでいる。 俺の名を呼び、そしてすぐに俺の傍まで駆け寄って来た。月に照らされながら、いつも...
第4.5章(外伝):金持ち父さん、貧乏父さん その3

86:金持ち父さん、貧乏父さん(86)

メ゛ェェェェェ!!『っよし、みんな!前足と頭が出始めた!ここまで来ればもうすぐ痛いのは終わるからなっ!』 けもる達が本格的に産気づき始めて、一体どの程度の時が過ぎたのだろう。痛みと痛みの隙間にけもる達の体を撫でてやり、痛みがくれば穴から出て...
第4.5章(外伝):金持ち父さん、貧乏父さん その3

85:金持ち父さん、貧乏父さん(85)

〇『スルーっ!アイツ一体森のどこまで入り込んだんだ!』 ザンは、ひたすらに森の中を駆け回っていた。否。この時彼は既にヨルであった。ザンは昼間に置いてくると、彼は心の中で決めているからだ。ヨルはスルーが彼に与えた名であり、特に本意であった訳で...
第4.5章(外伝):金持ち父さん、貧乏父さん その3

84:金持ち父さん、貧乏父さん(84)

俺は怒っていた。 そりゃあもう、怒っていた!『けもるー!けもみ!けもも!なんでだ!なんでお前らは俺の言う事を聞かない!』 俺は暗くなってしまった森の中で、モシャモシャと足元にある草を一心不乱に食べる可愛い子らに、初めて怒りの声を上げていた。...
第4.5章(外伝):金持ち父さん、貧乏父さん その3

83:金持ち父さん、貧乏父さん(83)

『あーぁ。もういっちまったよ』 オポジットは駆け抜けて行った男の後ろ姿を見送りながら一人ごちた。そこに向けられる視線の中には、尊敬と、どこか生暖かいナニかがある。『ザンの奴、本当にスルーの事が好きだよな』 そう呟いたオポジットに、それまで周...