第2章:生酔い、本性違わず

第2章:生酔い、本性違わず

113:知ってか知らずか

「……おい、アウト」 「バイ。早くお前も帰る準備しろ」  俺はウィズが余計な事を言う前に早くこの場を去らなければ、とザワつく心を必死に抑え、カウンターの内側に放り投げていた鞄を急いで取りに走った。しかし、そんな俺の心などお見通しかのように、...
第2章:生酔い、本性違わず

112:最強の手札からの

〇  前回までのあらすじ  どうしてもアバブの貸してくれた“びぃえる”の初級教本の続きを手に入れたかった俺は、俺の持つ格好良い男の手札を全て用意してアバブの元へと向かった。 何故なら、女の子というのはすべからく“顔の良い男”というのが好きだ...
第2章:生酔い、本性違わず

111:迎え撃つ

--------- ------ ---- 「……えっ、なになに。これ一体どういう状況っすか?」  夜勤当日。 夕刻とは言え、冬という季節柄、完全に日の落ちた時間帯。最早、上着に襟巻、そして手袋必須になった完全防備な格好で、俺はアバブを職場...
第2章:生酔い、本性違わず

110:正しいこと

---------- ------ ---  それは最早絶叫に近い泣き声だった。 『あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛~』  一体どうしたと言うのだろう。 僕はいつもの場所で大いに泣き喚くニアの姿に、その隣に立つインの方へと顔を向けた。インはニアに必死に...
第2章:生酔い、本性違わず

109:号泣-バイ-

俺は思わずカウンターから駆けて出ていくと、未だにトウに追い詰められたような姿勢のまま固まるバイの元へと走った。それに呼応するようにトウが俺からバイへと視線を移す。 「えっ」  すると、先程まで格好良い台詞を、なんて事ない顔で言っていたトウが...