第3章:酒極まって、乱となる

第3章:酒極まって、乱となる

230:みんなだいすきあぼーどのあにき

『アボード!?』  落ちた地面で『ぐっ』と、膝と腕をついたままアボードは、まるで生まれたての小鹿のようだった。 『おいおい!アボード!』 『おい!救護班を呼べ!負傷した可能性が高い!』 『兄貴ぃ!』 『大丈夫なのか!?兄貴は大丈夫なのか!?...
第3章:酒極まって、乱となる

229:飛べ、飛べ

------------- ---------- ------ ----------アウト、空は気持ちいいかい?  そう。頭の奥で、声が聞こえた気がした。  けれど、その声に返事をする事は叶わなかった。  何故なら――。 「おい!?このドク...
第3章:酒極まって、乱となる

228:生者が死者に出来る事

----- ------- -----------  どのくらい、此処に居ただろう。 『イン』  俺は一人、インと俺がいつも一緒に過ごしていた、森の奥の大穴の中に居た。もう、日も落ち、辺りは真っ暗だ。  『イン、どこ』  膝を抱え、呟くよう...
第3章:酒極まって、乱となる

227:父であり、母であり、そして

----------- -------- ---- 「おい、アボードはどうしたんだ」 「もう試験は始まってるんだよな?」 「なんで兄貴は騎兵しないんだ?」  周囲が騒がしい。  それもそうか、と。男は鳴り響く心臓を抑え、思った。  「どうし...
第3章:酒極まって、乱となる

226:四兄弟の使命

〇  屋敷に到着した、郵便飛脚によりもたらされた手紙。  いや、報告書は、すぐに屋敷の当主の元へと手渡された。  情報は全ての要。  人もモノも“情報”一つで大きく扱い方が変わる。  そう、その当主は幼い頃から父親に教え込まれていた。  だ...