第4章:即時、一杯の酒 240:飛べない鳥 「アウトの中に入らせてくれない?」 「ん??」 俺の中に入る?それはどういう意味だろう。下世話な事を考えて申し訳ないが、情交的なソレしか思い浮かばない。 「それは、俺と……情交したいって事?」 「わお!ほんとにアウトって情緒の欠片もないね... 2021.10.24 第4章:即時、一杯の酒
第4章:即時、一杯の酒 239:かったるい世界 「そうそう。ビヨンド教ってさ。ずっとあったんだけどね。今みたいになったのは、僕のせいなんだよ!」 「へえ」 急に明るい声で語り始めたヴァイスに、俺は適当に相槌を打つ。 そんなの、今更どうだっていい。始まりも終わりもない事を、他でもないヴァ... 2021.10.24 第4章:即時、一杯の酒
第4章:即時、一杯の酒 238:真っ白な手帳 「あぁ。だから、だったのか」 俺はヴァイスのお話を聞きながら、心の底までストンと落ちて行く“何か”を感じた。 そうか、そうか。 そう言うことか。 俺はいつも思っていた。 どうして“ぎょうかん”なんてまるで読めない俺が、あんなにも無... 2021.10.24 第4章:即時、一杯の酒
第4章:即時、一杯の酒 237:憎い世界 「ヴァイス。泣いていいよ」 「何言ってるの。他人にばかりそんな事を言って。アウトだって、いっつも我慢してるじゃないか。僕たちは、正反対だけれど、こんな所は良く似ている。もう、泣けないんだよ」 「泣けない……」 「そうさ、アウト。君は優しい。... 2021.10.20 第4章:即時、一杯の酒
第4章:即時、一杯の酒 236:鍵を持たぬ者 「一つもない時も、ある」 「え?」 「それがまさに、アウト。君たちのように、前世の記憶を持たない者達だ」 それまで、遠い、遠い、すごく遠くの物語の中だと思っていた世界の中に、一気に俺の名が入ってきた。 「アウトのように前世の記憶の無い人々... 2021.10.20 第4章:即時、一杯の酒