最終章:酒は百毒の長

最終章:酒は百毒の長

346:ずっと夜の世界

あーあ。  人生ってどうしてこう上手くいかないんだろう。 まったく、これだから人生って奴は困るよ。何度繰り返したって、一度だって思い通りにならないんだからさ!  もう!腹が立って世界を消し飛ばしそうだよ!         〇 『ねぇ、ヴァイ...
最終章:酒は百毒の長

345:子育てって大変!

--------さぁ、アウト。器は、広さだけじゃない。深さも、見定めなきゃならないよ。キミのように世界と同じだけ広い器を持つ人も居れば、世界の裏側にまで届きそうな程、深い器を持った人も居る。  キミは、それをどこまで見極められるかな?  俺...
最終章:酒は百毒の長

344:落っこちた先

●  街に到着した時、俺の体はボロボロだった。  食う事も、寝る事もせず駆け抜けた道のりの中、俺はひたすらに自分を殺す方法だけを考え続けていた。  そうでもしなければ、死んだと分かっている相手の元へなど駆ける事など出来ない。  そんな無意味...
最終章:酒は百毒の長

343:遅すぎた羽ばたき

--------------- ----------- ------  パラリ。  その日、郵便飛脚によりもたらされた情報に、俺は深く息を吐いた。 『……っふぅー』  息を吐き、そして自らの胸ポケットから、手帳を取り出す。取り出す手は、いつ...
最終章:酒は百毒の長

342:臆病な父

〇  パラリ。  郵便飛脚により、定期的にもたらされる、あの街の情報。  否、あの街に住む、スルーの情報。それを、俺はいつも震える手で捲る。  パラリ、パラリ。  その日もたらされた情報では、スルーの家の籍から、また一つの籍が消えていた。 ...