最終章:酒は百毒の長 356:忘れていても 『……イン』 そして、オブはと言えば、突然、インから与えられたその温もりに、先程までの不機嫌そうな表情を一気に収めると、その視線をインからスルリと逸らした。少しだけ、普段はその白い耳が朱に色付く。珍しい。 いつもは二人でもっと凄い事をし... 2022.05.01 最終章:酒は百毒の長
最終章:酒は百毒の長 355:誰かを探して ----- -------- ------------ 何もかもを忘れたフリをする彼が、探したい人が居ると言った。 ------俺と一緒に、人を探してくれないか? っは。そんなのおかしい。歪だ。デコボコだ。 全てを忘れて楽になろうとし... 2022.05.01 最終章:酒は百毒の長
最終章:酒は百毒の長 354:幕間 ◇◆◇◆ 「落っこちろよ、スルー。お前が居ると、俺はもう辛いんだ」 俺は目を閉じた。腹の底にある更に深くなった崖の底。 そこで、俺は全ての過去を背負い、いつもいつも俺に嫌な言葉ばかりを投げかけてきた“スルー”の体を思い切り押してやった。... 2022.05.01 最終章:酒は百毒の長
最終章:酒は百毒の長 353:少し、寂しい 『うん、嬉しかった!俺って、お父さんの幸福の一部なんだなぁって。そう思ったら物凄く、嬉しくて、嬉しくて……』 人生というのは、いつだってそんなものだ。 自分を幸せに出来るのは自分だけ。でも、そんな中で、自分の存在が誰かの幸福の一部なのだ... 2022.04.26 最終章:酒は百毒の長
最終章:酒は百毒の長 352:幸福の一部 スルーは言った。 “幸福”が分からないと。でも、そんな筈はないのだ。 ヨルが好きな人を幸福にする方法を知らない訳がないように、スルーもまたそうなのだ。 -------しあわせはまあるかったんだ。この中に、嬉しいとか、大切とか、大好きがい... 2022.04.26 最終章:酒は百毒の長