第1章:酔いの余韻に酔いしれて

第1章:酔いの余韻に酔いしれて

33:約束破り

---------- ------- ---- 次の日、約束の時間になってもアイツは来なかった。 なんだ、せっかくアイツの喜びそうな本を持って来てやったのに。  僕は時間になっても一向にやって来ないアイツに、手に持っていた本をパラパラとめく...
第1章:酔いの余韻に酔いしれて

32:本当の店主

「フクロウも鳥だ。鳴く事もある」 「えっと……」 「ちなみに、そのフクロウはメスだ。オスと違い喉袋がない。故に短く、小さくしか鳴けない」 「へぇ、そうなのか」 「求愛行動の一種でもある」 「え?まじ?俺、求愛されてたの?」 「そうかもな」 ...
第1章:酔いの余韻に酔いしれて

31:風呂上り

「なんだ、その頭は」 「あー、これ?」 夜勤明け。 俺は最高の酒場に居た。 今日も今日とてこの酒場には俺と、フクロウ、そしてウィズしか居ない。 「いやぁ、夜勤明けで家に帰って横になったと思ったら夜でして」 「それは、髪がずぶ濡れの説明になる...
第1章:酔いの余韻に酔いしれて

30:しあわせのかたち

-------------- --------- ----- 『オブ!これでいい?』 『だめだ。ここはもっとハネないと』 『むつかしいなぁ!』  地面に書いた僕の文字を、コイツは一生懸命マネをする。1日の僅かな時間だけれど、僕たちは毎日、暇...
第1章:酔いの余韻に酔いしれて

29:弟と家飲み

〇 「お前の部屋の癖にちょっと洒落てんじゃねぇか」 「だろ!?」  店で数種類の酒とつまみを買ってきた俺達は、現在、職場から程近い俺の部屋に居た。入った瞬間、アボードの口から出た賛辞に俺の気分は上場だ。 「へぇ、あの何もなかった部屋がねぇ」...