第1章:酔いの余韻に酔いしれて

第1章:酔いの余韻に酔いしれて

38:孤独

---------- ------- ----- インが死ぬかもしれない。 それを知った僕は、ひとしきり泣いた後、急いで家まで走った。 『っはっは、っはっは!』  こんなに走った事は、人生で一度もなかった。ここに来てから、体調を崩す事は少な...
第1章:酔いの余韻に酔いしれて

37:笑顔

「いつ帰ってくる?」 「ほんの数日だ。週末には帰ってくる」 「ほんとだな!?店の前で待ってるからな!」 「待ってなくていい。あんまり早く来たって開いてないからな」 「いいや!待つ!こう言ってたら、きっとウィズは早めに来て店を開けてくれる筈だ...
第1章:酔いの余韻に酔いしれて

36:神官

「ほら、いつものやらないのか」 「あ?あっ、あぁ」  その“いつもの”という言葉に、俺は初めウィズが何を指してそんな事を言っているのか理解できたかった。ただ、キラキラと輝くグラスを差し出してくる姿に俺はやっとピンと来た。 「かんぱい」 「ん...
第1章:酔いの余韻に酔いしれて

35:ウィズのお仕事

「明日から数日間、店を締めるぞ」 「へっ!?なんで!?」  ウィズの言葉に、俺は思わず酒を口から吹き出すところだった。それを寸でのところで思い留めると、足の細いグラスの中で激しく揺れる酒の波を宥めるように、静かにグラスをカウンターへ置いた。...
第1章:酔いの余韻に酔いしれて

34:本当の汚さ

〇 『……来ない』  アイツが約束の場所に来なくなって4日が経った。 最初は仕事だと思っていた僕も、だんだんと不安になって、居ても立っても居られなくなった。もしかして、もう僕との約束なんてどうでも良くなったのではないか。そんな考えばかりが頭...