第1章:酔いの余韻に酔いしれて

第1章:酔いの余韻に酔いしれて

28:弟の頼み事

〇 弟は暴君だ。 「おっせぇな!?このクソガキ!」 「…………」  出会い頭にこの態度。しかも兄に対して“クソガキ”と来たものだ。まぁ、特にコレは今に始まった呼び方ではないので今更なのだが。 こいつは言葉をまだ流暢に話せなかった時分から、兄...
第1章:酔いの余韻に酔いしれて

27:弟来襲

「アウトさん、弟さんがいらっしゃってますよ」 「アボードが?」  あと10分程で終業時間だという時にかけられた予想外の声かけに、俺は思わず目を瞬かせた。 アボード。 2つ下の弟でありながら、俺に対して一切の兄扱いをしない乱暴者。そう、5歳の...
第1章:酔いの余韻に酔いしれて

26:文字

------------ -------- ---- あの日から、アイツは暇さえあれば僕の所に来るようになった。 おかげで、とても迷惑している。僕は勉強で忙しいのだ。バカな貧乏人の相手をしてやっている暇はない。 『なぁ、今日は何を読んでるん...
第1章:酔いの余韻に酔いしれて

25:名前

「あぁっ、良い」 「器用だな」 酒を飲みながらメモを続ける俺に、男が少しだけ感心したように言う。 「アナタは博識だなぁ」 「アンタは無学だな」 「言うねぇ。でも、まぁ、アナタに比べたらそうでしょうとも」 「早く鳥並みになれるといいな」 「ハ...
第1章:酔いの余韻に酔いしれて

24:授業の時間

「狭い部屋でも、家主の選択権の許されるものが2つある」 「え!なになに!」  聞きつつ、グイと一呑みする。どこか癒やされる香りと共に、本来持っているであろう強い風味が白酒によってまろやかになっている。一度、ロックで呑んでみるのも良いかもしれ...