第1章:酔いの余韻に酔いしれて

第1章:酔いの余韻に酔いしれて

18:一杯の酒

バサバサバッ。  俺の叫び声と共に、フクロウが羽ばたいた。声を張りすぎて肩で息をし始めていた俺は、チラリとフクロウに目をやった。  フクロウは足の鎖で飛び立つ事は叶わず、また止り木に足を下ろしていた。 「どうしてこの店に、そんなにこだわる?...
第1章:酔いの余韻に酔いしれて

17:フリダシ

「出て行け」  開口一番がその言葉だった。  取り付く島もないとは正にこのような状況の事を指すのだろう。  男は俺に背を向けたまま、手には先日同様酒が持たれている。中身はどうやら別の酒のようだ。何の酒だろう。 「あの、」 「俺は出て行けと言...
第1章:酔いの余韻に酔いしれて

16:うそつき

--------- ------ ---  『また、明日ここに来てもいい?』  次の日、あの木の下に居たのは僕だけだった。
第1章:酔いの余韻に酔いしれて

15:ふじょし

「あ。あの怖い男の事で忘れてたけど、アバブの好きそうな話を先週聞いたんだった」 「なんすか、なんすか!アウト先輩の持ってくる話っていつも二次創作の甲斐があって楽しいから好きっす!」 「にじそうさく、が何かはわからないけど。多分アバブは好きだ...
第1章:酔いの余韻に酔いしれて

14:ボーイミーツボーイ

『あの、明日も来ていいですか』  そう、俺は次の日もあの酒場に行こうと思っていたのだ。本当に。  しかし、普通に行けなかった。  すっかり忘れていたが、次の日は夜勤だったのだ。あの男が俺を待っているとは思えないが、行くと言ってしまった手前か...