第1章:酔いの余韻に酔いしれて 13:懐中時計 ------------- --------- ----- この村に連れて来られて、良いことなんか一つもなかった。 僕は、いつも一人だった。 ---------なのに。 『なぁ、なぁ』 『……うるさい。近寄るなよ。汚い。この貧乏人』 ... 2021.08.08 第1章:酔いの余韻に酔いしれて
第1章:酔いの余韻に酔いしれて 12:フクロウ 「何かいる!」 「っ」 俺は思わず大声で叫ぶと、視線の先にある生まれて初めて見る“生き物”に釘付けになった。 人という生き物は、喉過ぎれば熱さを忘れる生き物だが、別の熱いものが喉を通れば、ついさっきの熱さをも忘れる生き物なのかもしれない... 2021.08.08 第1章:酔いの余韻に酔いしれて
第1章:酔いの余韻に酔いしれて 11:店主 俺は夢がカタチになったその酒場の階段の最後の一段に足を下ろすと、ジワリと漏れるオレンジ色の光のある扉に手をかけた。 階段の入り口同様、上部はガラス張りだったがそこには薄い小さなカーテンがかけられている為、中の様子は伺えない。 閉まってい... 2021.08.08 第1章:酔いの余韻に酔いしれて
第1章:酔いの余韻に酔いしれて 10:理想の酒場 あの恐怖の夜から1週間が経った。 最初はあまりの恐怖に、外を歩く度にあの“フロム”という男に遭遇しやしないかとビクビクしていたが、その心配は杞憂に終わった。 2日、3日と経つにつれ徐々に残っていた恐怖は薄くなり、1週間が経過する頃には、... 2021.08.08 第1章:酔いの余韻に酔いしれて
第1章:酔いの余韻に酔いしれて 9:謎の人物 そう考えている間に、俺の目の前には一人の大きな男が立っていた。年は多分俺と同じ位だろう。 とにかくデカく屈強な体躯のその男は、俺を見下ろしながらながら、ポロリと涙を零していた。 俺の作り話に感動しちゃった一人かよ。まいったな。俺、吟遊詩人... 2021.08.08 第1章:酔いの余韻に酔いしれて