第1章:酔いの余韻に酔いしれて

第1章:酔いの余韻に酔いしれて

23:お酒の時間

「グラス、別のに変えてみてもいいか」 「勝手にしろ」 「どれにしようか」  グラスの並ぶ棚を端から端まで眺める。このラベルよろしく、台形で角の多いグラスに決めた。  あぁ、楽しい。 「白割だからな。その樽が白だ。7対3で」 「注文が多いな。...
第1章:酔いの余韻に酔いしれて

22:客と店主

さぁ、やっと酒だ。  俺は酒瓶の蓋をカラカラと開けると、そのままゆっくり瓶を傾けグラスに注いだ。トクトクという音と鼻孔に微かに触れる、予想通り爽やかな香りに期待感が最高に高まる。 「っはぁ……いい!」 「……………」  注がれる事で透明の球...
第1章:酔いの余韻に酔いしれて

21:店主と客

----------- -------- ----- 「という訳で、起きたのはついさっきなんだ」 「…………」  心底どうでもよさそうな顔で俺を見る一人酒場の店の男に、俺は一枚の紙幣を渡した。明日から、また仕事だ。今はなんとしても一酒浴びて...
第1章:酔いの余韻に酔いしれて

20:愛着のない部屋

俺の住んでいる部屋は市内から少し離れた所にある。俺の職場はあんなだが、一応公共事業の一端であるため国営だ。 その為、そこに務める労働者には社宅として部屋が一つ、無料で貸し出される事になっている。まぁ、寮のようなものだ。  市内から離れている...
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19:時計の意味

-------------- --------- ----- 『あっち行けよ』  僕は静かに感じた人の気配に、ソイツの方を見ないで言い放った。絶対に顔など上げてやるものか。  そう、僕はいつもの木の下で本を読んでいた。これは、れっきとした勉...