第1章:酔いの余韻に酔いしれて 23:お酒の時間 「グラス、別のに変えてみてもいいか」 「勝手にしろ」 「どれにしようか」 グラスの並ぶ棚を端から端まで眺める。このラベルよろしく、台形で角の多いグラスに決めた。 あぁ、楽しい。 「白割だからな。その樽が白だ。7対3で」 「注文が多いな。... 2021.08.08 第1章:酔いの余韻に酔いしれて
第1章:酔いの余韻に酔いしれて 22:客と店主 さぁ、やっと酒だ。 俺は酒瓶の蓋をカラカラと開けると、そのままゆっくり瓶を傾けグラスに注いだ。トクトクという音と鼻孔に微かに触れる、予想通り爽やかな香りに期待感が最高に高まる。 「っはぁ……いい!」 「……………」 注がれる事で透明の球... 2021.08.08 第1章:酔いの余韻に酔いしれて
第1章:酔いの余韻に酔いしれて 21:店主と客 ----------- -------- ----- 「という訳で、起きたのはついさっきなんだ」 「…………」 心底どうでもよさそうな顔で俺を見る一人酒場の店の男に、俺は一枚の紙幣を渡した。明日から、また仕事だ。今はなんとしても一酒浴びて... 2021.08.08 第1章:酔いの余韻に酔いしれて
第1章:酔いの余韻に酔いしれて 20:愛着のない部屋 俺の住んでいる部屋は市内から少し離れた所にある。俺の職場はあんなだが、一応公共事業の一端であるため国営だ。 その為、そこに務める労働者には社宅として部屋が一つ、無料で貸し出される事になっている。まぁ、寮のようなものだ。 市内から離れている... 2021.08.08 第1章:酔いの余韻に酔いしれて
第1章:酔いの余韻に酔いしれて 19:時計の意味 -------------- --------- ----- 『あっち行けよ』 僕は静かに感じた人の気配に、ソイツの方を見ないで言い放った。絶対に顔など上げてやるものか。 そう、僕はいつもの木の下で本を読んでいた。これは、れっきとした勉... 2021.08.08 第1章:酔いの余韻に酔いしれて