第3章:酒極まって、乱となる

第3章:酒極まって、乱となる

214:父の約束

『不幸ではない。俺は、“今”“此処”で幸福だ』『なんでだ……そんな訳ない。ザン、お前は不幸な筈だ!こんな下らない家の事情やしがらみに絡め取られ、自由なんて一度も与えられなかった!全て家の言いなり!望むモノを見つけても手すら伸ばせない!それの...
第3章:酒極まって、乱となる

213:幸か不幸か

『オブです。入りますよ』『ああ』 俺は父にこの謎の紙切れを手渡すべく、執務室へと向かう。部屋の向こうから聞こえてくる低い声。この声が、幼い頃は怖くて仕方がなかった。 けれど、今はなんともない。 あの頃は、とてつもなく大きく恐ろしく感じていた...
第3章:酒極まって、乱となる

212:父の文通相手

--------------------------『オブ様、分かっていらっしゃいますね』『ああ、分かっている。何度も言われなくとも、分かったと何度言えばわかるんだ』『くれぐれも、もう脱走などされませんように』『脱走って……俺はあっちでも仕...
第3章:酒極まって、乱となる

211:新しい手帳

「俺は勝手な男だ。お前は俺を追いかけて来てくれるものだと、どこかで勝手に思っていた。追いかける事すら躊躇わせているのは他でもない俺なのに……勝手に不安になって、勝手にお前からの呼びかけに無視して、挙句、付いて来てくれなかった事にもショックを...
第3章:酒極まって、乱となる

210:手帳

「うん、いいな。これ」 きっと、俺は自分自身に皆のような古い歴史がないので、古めかしくて歴史を感じられる、こういったモノが好きなのかもしれない。 こういうのを、”無いモノねだり”とでも言うのだろうか。「まぁ、いいか。たまには」「へ?」 する...