第3章:酒極まって、乱となる

第3章:酒極まって、乱となる

216:きゅんとして嫌な予感

〇  あぁっ、何度見ても素晴らしい場面だ!  太陽王と画家の二人が、ある兵士から聞いた秘密の美しい場所で、互いの弱さを語り合う場面。これは本当に胸を打つ!  こういう気持ちを“きゅん”とする、とアバブから教えて貰った。 「きゅんとするなー」...
第3章:酒極まって、乱となる

215:太陽VS月

〇  俺は今、夢中になっているビィエルの中級教本がある。 ---------アウト先輩!ずっと部屋に閉じこもりきりで暇でしょう!?少し前にアウト先輩が話してくれた画家と国王様のお話!で、き、ま、し、た、よ!  そう言ってアバブが手渡してくれ...
第3章:酒極まって、乱となる

214:父の約束

『不幸ではない。俺は、“今”“此処”で幸福だ』 『なんでだ……そんな訳ない。ザン、お前は不幸な筈だ!こんな下らない家の事情やしがらみに絡め取られ、自由なんて一度も与えられなかった!全て家の言いなり!望むモノを見つけても手すら伸ばせない!それ...
第3章:酒極まって、乱となる

213:幸か不幸か

『オブです。入りますよ』 『ああ』  俺は父にこの謎の紙切れを手渡すべく、執務室へと向かう。部屋の向こうから聞こえてくる低い声。この声が、幼い頃は怖くて仕方がなかった。  けれど、今はなんともない。  あの頃は、とてつもなく大きく恐ろしく感...
第3章:酒極まって、乱となる

212:父の文通相手

------------ --------- ----- 『オブ様、分かっていらっしゃいますね』 『ああ、分かっている。何度も言われなくとも、分かったと何度言えばわかるんだ』 『くれぐれも、もう脱走などされませんように』 『脱走って……俺は...