第3章:俺の声はどうだ!

第3章:俺の声はどうだ!

173:新しいマップが解禁しました!

ここに来て、新しいマップが解禁されるなんて思ってもみなかった。 「へー、ここがゲットーかぁ。なんか、窮屈そうな街だな」 「え?サトシ、ちょっといい?」 「ん?」  隣から聞こえてきた丸みを帯びた声に、俺は鞄を掛け直しながら顔を向けた。ヤバイ...
第3章:俺の声はどうだ!

幕間15:クリアデータ7 5:15

「良かったー。私、選択肢選び間違えたかと思ったー」  栞は、やっと画面の中から消えて無くなった妖艶な雰囲気に、ホッと胸を撫で下ろした。今は寝ながら、ゲーム内の会話に耳を傾けているところである。 ----------- 【ソラナ】 あら、ダメ...
第3章:俺の声はどうだ!

172:似た者同士

「まさか、会った事もないヴィタリックの息子と自分を比べて……ビビッてるんじゃないよな!?」 「……ビビッてなんかいない。ただ、あの賢王と呼ばれる男の息子だ。きっとタダ者ではないのだろうと思っているだけだ」 「うわ、完全にビビッてる」 「ビビ...
第3章:俺の声はどうだ!

171:ジェローム・ボルカ―の憂鬱

その日、ジェローム・ボルカ―は声明を発した。 「……神の加護が我々とともにあらんことを」 固くワックスで固めた茶色の髪の毛を手で撫でつけ、深く息を吸い込む。目の前にあるのは小型マイク。そこで、ジェロームが一言声を発するだけで、国中の人間に伝...
第3章:俺の声はどうだ!

170:その誰かは、俺じゃなきゃダメだろ?

「こわい」  イーサの眉が情けなくハの字になる。重なり合った掌は、圧倒的にイーサの方が大きいのに、俺にはまるで小さいボロボロの子供の手に見えて仕方がなかった。 「イーサは、戦争なんかしたことがない。分からない事があったら、一体誰に聞けばいい...