第4章:即時、一杯の酒

第4章:即時、一杯の酒

268:唯一のお気に入り

〇 「アウト、もう。そろそろいいんじゃない?」 『な、にが?』  俺は目の前で行われる、3つの影のやりとりを見つめながら、何をどう思ってよいのか分からなかった。そして、そんな俺の隣では、ずっと、このそよ風のような男の子が俺の肩を抱いてくれて...
第4章:即時、一杯の酒

267:偽物と本物と

「おいっ!いい加減にしろっ!この偽物がっ!」 『そうだ。俺は偽物だ。けれど、分からないか?アウトが求めているのは“本物”じゃない』  そう。俺が求めているのは、本物とか偽物とか、そういうモノじゃない。 俺の事を、傷付けないウィズだ。俺の事を...
第4章:即時、一杯の酒

266:大好きなお人形と

〇 きみとぼくの冒険。第9巻 第3章 【こっちを見て!】 王子様が勇気をだして、おおきく、おもい扉を開くと、そこには予想通りのこうけいがひろがっていました。 『王子様―!待って!今度は月の裏側の大穴に行こうよ!そこに星のプールをつくろう!』...
第4章:即時、一杯の酒

265:怒髪月を衝き、幸福を手にする

『そう。そうだ。いっしょに、二人で居れる場所を、探そうって、言った。言ったのに、あいつは、俺を叩いて、ひどい事を言った』  俺は、バカで、おろかで、何も分かってないって。自分の苦しさを分かってないって言って、俺にあっちへ行けっていったんだ。...
第4章:即時、一杯の酒

264:怒髪星空を衝く

〇  声が、聞こえた。 『イン、お待たせ。ごめんね。今、迎えに行くからね』  その声を聞いた時。俺はとっさに“懐かしい”って思ったんだ。 『え、ええ?誰?なに?え?開かない、開かないよ。この部屋は。だって鍵が……』  そう、急にマスターでは...